三角比を用いた計算

1 三角比の相互関係①

 三角比の相互関係とは、例えば、tanθがこういう値だったら、cosθは必ずこういう値になる、cosθがこういう値だったらtanθやsinθはこういう値になる、といった、sinθ、cosθ、tanθの 値の関係です。これがどのような関係なのかを学びます。三角比を含む計算式を解くのに非常に重要な公式です。では早速下の3つの関係式を見てください。

cos²θ+sin²θ=1
tanθ=sinθ/cosθ
1+tan²θ=1/cos²θ

つまり、一番上の公式の場合、cosθ=3/5だったら、(3/5)²+sin²θ=1 sin²θ=1-(3/5)² sin²θ=1-9/25 sin²θ=16/25 sinθ=±4/5となるわけです。ただ、もし0°≦θ≦180°と指定されてたら、1≧sinθ≧0となるので、sinθ=4/5になる、ということです。
ではなぜ以上の3つの公式が成り立つのか証明します。


上の図のように、∠BOP=θとなるような角度をとります。よって、Pの座標は(cosθ,sinθ)です。だから、PH=sinθ、OH=cosθとなります。ここで、三平方の定理を使うと、PH²+OH²=1つまりsin²θ+cos²θ=1となります。 また、tanθは直線OPの傾きですね。よってtanθ=y/xとなります。では、このx,yが単位円周上にあったらどうなるでしょう。この場合は、x=cosθとなり、y=sinθとなります。 よって、tanθ=sinθ/cosθです。
ではこのtanθ=sinθ/cosθの式を2乗してみましょう。tan²θ=sin²θ/cos²θです。また、sin²θ+cos²θ=1を変形して、sin²θ=1-cos²θです。この1-cos²θをtan²θ=sin²θ/cos²θのsin²θに代入します。
tan²θ=(1-cos²θ)/cos²θつまり、
tan²θ=1/cos²θ-cos²θ/cos²θ
tan²θ=1/cos²θ-1
1+tan²θ=1/cos²θ
となるわけです。
例題1
0°≦θ≦180°のとき、cosθ=5/6のとき、sinθ、tanθの値をもとめよ。
まず、sinθから求めましょう。さっき証明したcos²θ+sin²θ=1という式を使います。cos²θ=25/36なので、これを公式に代入すると、25/36+sin²θ=1 sin²θ=11/36 sinθ=±ルート11/6だたし、 0°≦θ≦180°のとき、前の項でもやりましたが、sinθはつねに正なので、sinθ=ルート11/6です。
次にtanθですが、これはtanθ=sinθ/cosθの公式をつかいましょう。sinθにルート11/6、cosθに5/6を代入すると、(ルート11/6)/(5/6)=ルート11/5です。またtanθはめんどうですが、1+tan²θ=1/cos²θの公式でも解けます。cos²θは25/36でしたのでそれを代入して、
1+tan²θ=1/(25/36)
1+tan²θ=36/25
tan²θ=11/25
tanθ=±(ルート11/ルート5)
これで終わりではないです。cosθは正の数でしたよね。正の数ということは、0°≦θ<90°ですね。このときはtanθは正であると、さっきの項で最後に言いましたよね。だから、 tanθ=1/ルート5です。
tanθ=sinθ/cosθの式を使うと自動的にcosやtanは正または負のどっちかになり、sinは正になりますが、cos²θ+sin²θ=1や1+tan²θ=1/cos²θの式を使うと、プラスとマイナスどちらもでてくるので、 問題文に指定されているθの範囲とtanやcosの値からθの範囲を考えてプラスとマイナス、あるいは両方なのかを考える必要があります。
例題2
0°≦θ≦180°のとき、tanθ=2のとき、cosθ、sinθの値をもとめよ。
tanθの値しか与えられてないので、1+tan²θ=1/cos²θの公式しか使えないですね。だから、まずはcosθを求めます。
1+tan²θ=1/cos²θ
1+(-2)²=1/cos²θ
5=1/cos²θ
cos²θ=1/5→cosθ=±(1/ルート5)
ここで注意しましょう。tanθは正の数ですね。ということは0°≦θ≦90°です。だから、cosθは正で、cosθ=1/ルート5となります。tanθが正ならcosθも正です。また、tanθが負ならcosθも負です。
最後にsinθを求めるためにの公式をつかいましょう。
2=sinθ/(1/ルート5)
sinθ=2/ルート5
となります。 また、面倒ですが、sin²θ+cos²θ=1の公式でも解けます。
sin²θ+(1/ルート5)²=1
sin²θ+1/5=1
sin²θ=4/5
sinθ=±(2/ルート5)
問題文に0°≦θ≦180°と指定されていますね。このθの範囲ではsinθは正の数なので、sinθ=2/ルート5です。
どうですか?思ったより難しくないでしょ?では次は以下の3つの関係式です。

sin(90°-θ)=cosθ
cos(90°-θ)=sinθ
tan(90°-θ)=1/tanθ

これは、一番上の場合だと、90°からある角度θを引いた角度のsinの値(つまりsin〈90°-θ〉)は、そのある角度θのcosの値(つまりcosθ)に等しいということです。 sin(90°-50°)つまりsin40°は、cos50°に等しいのです。逆にcos(90°-25°)つまりcos65°はsin25°に等しいのです。では、なぜそうなるか、これは単位円を用いて証明します。ただのまる暗記は お勧めしません。こういう証明を知ったほうがより楽しくできます。



上の図のように∠BOP=θとなるようなPをとります。このとき、分かると思いますが、Pの座標は(cosθ,sinθ)です。そしてPからx座標に垂線PHを引きます。またこんどは ∠AOQ=θとまるようなQをとります。∠BOQ=90°-θなので、Qの座標は(cos(90°-θ),sinθ(90°-θ) )となります。そこからの垂線とy座標の交点をGとします。
ここで、△POHと△QOGに注目です。1つの角度がθで同じであり、直角がそれぞれありますよね。さらに斜辺が単位円の半径1で等しいので、 直角三角形において、斜辺と1つの角度が等しいと合同なので、△POH≡△QOGとなります。よって対応する辺や角は等しいですよね。だからPH=QGです。 PHの長さはPのy座標で表せますよね。よってPHの長さはsinθとなります。QGの長さはQのx座標の値です。よってQO=cos(90°-θ)ですね。 PH=QGだから、cos(90°-θ)=sinθとなるのです。また、この合同なので、OH=OGですね。OHの長さはcosθ、OGはsin(90°-θ〉ですね。よってsin(90°-θ)=cosθとなります。
最後のtan(90°-θ)=1/tanθですが、 これは最初に証明したtan○=sin○/cos○の公式をつかいましょう。○には全て同じ値の角度が入らないとだめです。だから、tan(90°-θ)=sin(90°-θ)/cos(90°-θ)となります。そして、このsin(90°-θ)は、ついさっき証明したcosθですね。また、cos(90°-θ) もさっき証明した通りsinθですね。よって、tan(90°-θ)=cosθ/sinθです。さっきの公式tanθ=sinθ/cosθのtansθをtanθ/1と考えて、両辺の分母と分子を入れ替えます。つまり、1/tanθ=cosθ/sinθです。 ということで、tan(90°-θ)=1/tanθが成立します。

2 三角比の相互関係②

次は下の3つの公式の証明をしましょう。
sin(90°+θ)=cosθ
cos(90°+θ)=-sinθ
tan(90°+θ)=-(1/tanθ)



図を見ても分かる通り、Qの座標は(cos(90°+θ),sin(90°+θ) )です。Pの座標は(cosθ,sinθ)ですね。ここで、△QOG≡△POHとなります。よって、QG=PH、GO=HOですね。 QGの長さはcos(90°+θ)と考えてしまうかもしれませんが、このときcos(90°+θ)自体の値は負の数となってます。長さは正でないとおかしいので、マイナスの数にマイナスをつけて正の数にし、 QG=-cos(90°+θ)となります。PH=sinθです。だから、-cos(90°+θ)=sinθ つまりcos(90°+θ)=-sinθです。
GOの長さはsin(90°+θ)です。sinは0°≦θ≦180°の範囲ならいつでも正なので、べつにさっきみたいにマイナスをつける必要はないです。また、HO=cosθです。GO=HOなので、 sin(90°+θ)=cosθです。
最後はtan(90°+θ)=-1/tanθの証明です。tan○=sin○/cos○の公式より、tan(90°+θ)=sin(90°+θ)/cos(90°+θ)となります。このsin(90°+θ)とcos(90°+θ)はついさっき証明し、 ぞれぞれcosθと-sinθですね。だから、tan(90°+θ)=cosθ/-sinθ=-(cosθ/sinθ)です。tanθ=sinθ/cosθの式にマイナスをかけて-tanθ=-(sinθ/cosθ)とし、 この式の-tanθを-(tanθ/1)と考えて分子と分母を入れ替えると、-(1/tanθ)=-(cosθ/sinθ)です。よって、tan(90°+θ)=-1/tanθとなるわけです。

さあ、次の3つの公式で最後です(俺も書くの疲れたわ)。
sin(180°-θ)=sinθ
cos(180°-θ)=-cosθ
tan(180°-θ)=-tanθ



もう△GOQ≡△HOPというのは分かりますね。GQの長さはsin(180°-θ)で、HPの長さはsinθ。GQ=PHなので、sin(180°-θ)=sinθが成り立ちます。
GOの長さは負の値となってるcos(180°-θ)にマイナスをつけてGO=-cos(180°-θ)で、HO=cosθで、GO=HOなので、cos(180°-θ)=-cosθが成立します。
最後はtan(180°-θ)です。tan(180°-θ)=sin(180°-θ)/cos(180°-θ)=sinθ/-cosθ=-(sinθ/cosθ)=-tanθ。よって、tan(90°+θ)=-(1/tanθ)が成立します。

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