三角比の計算
1 三角比の計算
名前のとおり、sin、cos、tanの入った計算式を解く問題だよ。ここでは問題をたくさん解いて三角比入りの計算技術をマスターしよう。
問題1
(cos145°+sin145°)²+(cos35°+sin35°)²の値を求めよ。
(cos145°+sin145°)²+(cos35°+sin35°)²
=(cos²145°+2cos145°sin145°+sin²145°)+(cos²35°+2cos35°sin35°+sin²35°)
と展開できますね。ここで、sin²θ+cos²θ=1という公式がありますね。この問題でこのθには145°あるいは35°が入ります。だからcos²145°+sin²145°=1、cos²35°+sin²35°=1と
なり、これらを代入します。
(cos²145°+2cos145°sin145°+sin²145°)+(cos²35°+2cos35°sin35°+sin²35°)
=(cos²145°+sin²145°+2cos145°sin145°)+(cos²35°+sin²35°+2cos35°sin35°)
=(1+2cos145°sin145°)+(1+2cos35°sin35°)
=2+2cos145°sin145°+2cos35°sin35°
となります。ここで、cos35°とsin35°を変形してみましょう。前章で証明したcos(180°-θ)=-cosθより、cos35°=cos(180°-145°)=-cos145°であり、sin(180°-θ)=sinθより
sin35°=sin(180°-145°)=sin145°です。だから、2cos35°sin35°=2・(-cos145°)・sin145°=-2cos145°sin145°です。
ではこの-2cos145°sin145°を代入してみましょう。
2+2cos145°sin145°+2cos35°sin35°
=2+2cos145°sin145°+(-2cos145°sin145°)
=2
答えはきれいに2と出てきました。
どうですか?今までの公式をきちんと理解していれば苦ではないでしょう。あと、sinθ自体を2乗したものは、sin²θと書きます。sinθ²と書いてしまうと、θを2乗したように見えてしますから
です。cosθやtanθも同じです。
問題2
cos150°sin120°+sin45°cos180°の値を求めよ。
これはさっきよりも全然簡単だと思います。4つのsinやcosのそれぞれの角度の時の値を求めて計算するだけです。
cos150°は前にやりましたね。-ルート3/2です。sin120°=1/2、sin30°=ルート3/2、cos180°=-1です。だから、
cos150°sin120°+sin30°cos180°
=-ルート3/2×1/2+ルート3/2×(-1)
=-ルート3/4-ルート3/2
=-ルート3/4-2(ルート3)/4
=-3(ルート3)/4
これが答えです。簡単です。
今2問やりましたが、どうでしょうか?大丈夫でしょうか?次は三角比を含んだ方程式をやります。
2 三角比の方程式
名前の通り、sin、cos、tanを含む方程式です。
問題1
0°≦θ≦180°のとき、次の式が成り立つ時のθの値を求めよ。
(1)cosθ=1/2 (2)sinθ=1/ルート2
まずは(1)からやりましょう。

図のように、cosθ=1/2になるように、単位円周上にPをおきましょう。このとき、OH=1/2、OP=1、PH=ルート3/2です。だから、OH:OP:PH=1:2:ルート3の直角三角形になるので、
∠POH=θ=60°となります。よってcosθ=1/2のとき、θ=60°です。
次は(2)です。

図のように、sinθ、つまりy座標が1/ルート2になる時の点を単位円周上にとります。このとき、sinθ=1/ルート2になる点は2点あります。図を見ればわかると思います。鋭角の時の角度をθ₁としその点をP、鈍角の時の角度をθ₂
としてその点をQとしましょう。
△POHにおいては1:1:ルート2の直角三角形なので、θ₁は45°ですね。そして、△QOGにおいては1:1:ルート2の直角三角形なので、∠QOGは45°だからθ₂は135°ですね。
よって、sinθ=1/ルート2が成り立つ時のθの値は135°と45°です。
問題2
0°≦θ≦180°のとき、次の不等式が成り立つθの範囲を求めよ。
(1)cosθ<ルート3/2 (2)tanθ≧-1
この問題はθの値ではなく範囲を求めるのです。これも図を使って考えましょう。
(1)の解説

図にも書いてありますが、θ=30°のときcosθ=ルート3/2です。そのルート3/2よりcosθ(x座標)が小さいのですから、Pはどんどん原点のほうに行きます。すると、θの値は
大きくなるんです。
そして、ルート3/2より小さくなるのですから、θは30°より、大きくなるのです。よって、θ>30°です。問題では<なので、cosθがルート3/2のときのθの値30°は含みません。
また、問題文に0°≦θ≦180°と書いてあるので、30°<θ≦180°となります。0°≦θ≦180°のときというのは、数Ⅰの三角比の計算問題ではいつも書いてあります。たまに、0°≦θ≦90°
となってる事もありますが。
(2)の解説

θが135°のとき、tanθ=-1となります。その-1より、大きいということは、tanθは-1より大きくなっていきます。tanθはOPの傾きで、PがCに近づいてOPの傾きの値が0に近づくほど、tanθが0に向かって大きくなり、θも大きくなります。
逆に、Aに近づくと、傾きはマイナス方向に向かって小さくなります。よって、tanθが-1より大きくなると、図を見てわかる通り、θは135°より大きくなります。よって、θ≧135°です。問題には≦と書いてあるので、今回は135°含みます。
また問題文び指定されているθの範囲より、135°≦θ≦180°です。実はこれで答えではないのです。
θが鋭角の時、tanθは正ですよね。この前もやりましたし。ということは-1より大きいので、0°≦θ<90°も答えになります。
とりあえす6問やってみました。まだ完全に分かってない人もいるかもしれません。そしたら他の問題集でがんばってください。
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